筋トレをしていて肩に痛みや違和感を覚えたことはないだろうか。ベンチプレスやショルダープレスなど、肩関節を大きく動かす種目では肩の痛みが出やすい。肩は人体の中でも特に可動域が広い関節だが、その分不安定で怪我をしやすいという特徴がある。「少し痛いけどまだ大丈夫」と無理を続けると、慢性的な痛みに発展したり、日常生活にも支障が出たりする可能性がある。この記事では、筋トレで肩が痛くなる原因、代表的な肩の怪我の種類、予防法、そして痛みが出た時の対処法まで詳しく解説していく。

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筋トレで肩が痛くなる主な原因
肩は球関節と呼ばれる構造をしていて、あらゆる方向に大きく動かせる。その分、骨だけでは安定性が低く、周囲の筋肉や腱、靭帯で支えている状態だ。だからこそ筋トレで痛みが出やすいんだ。
フォームの問題
ベンチプレスで肘を広げすぎたり、ショルダープレスで過度に重量を下げすぎたりすると、肩関節に過剰なストレスがかかる。特にベンチプレスで肩甲骨を寄せずに行うと、肩の前側に負担が集中することが多い。
ローテーターカフ(回旋筋腱板)の弱さ
肩関節を安定させているのは、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉で構成されるローテーターカフだ。大きな筋肉(三角筋や大胸筋)ばかり鍛えてローテーターカフのトレーニングを怠ると、関節の安定性が損なわれ痛みが出やすくなる。
オーバーユース(使いすぎ)
押す系の種目(ベンチプレス、ショルダープレス、ディップスなど)を高頻度で行うと、肩関節への累積的な負荷が大きくなる。特にプッシュ系の種目が多くプル系の種目が少ないとバランスが崩れやすい。
姿勢の問題
猫背や巻き肩の人は、肩関節の位置が前方にずれやすく、トレーニング時に肩が不自然な位置で動くことになる。デスクワークが多い人は特に注意が必要だ。
知っておきたい肩の怪我の種類
肩の痛みにはいくつかのパターンがある。症状に心当たりがある場合は、自己判断せず整形外科を受診しよう。
インピンジメント症候群
筋トレで最も多い肩の痛みの一つがこれだ。腕を上げる動作で、上腕骨と肩甲骨の肩峰の間で腱板が挟まれ(インピンジ)、炎症を起こす。腕を横や前に上げた時に痛みや引っかかりを感じるのが特徴的だ。順天堂大学医学部附属順天堂医院のページでも詳しく解説されている。
腱板損傷・腱板断裂
ローテーターカフを構成する腱が部分的あるいは完全に断裂した状態。棘上筋の腱が最も損傷しやすいとされている。肩を挙上した際の痛みや筋力低下が主な症状だ。
肩関節唇損傷(SLAP損傷)
肩関節の縁にある軟骨のリング(関節唇)が損傷した状態。投球動作やベンチプレスでの過度な負荷で起きることがある。肩の奥の方に痛みを感じたり、引っかかる感覚がある場合は疑われる。
二頭筋腱炎
上腕二頭筋の腱が肩関節の前側で炎症を起こす状態。ダンベルカールやベンチプレスで肩の前側に痛みが出る場合はこの可能性がある。

肩の痛みを予防するための具体的な対策
肩の怪我は予防できるものが多い。以下の対策を日常的に実践しよう。
ローテーターカフのトレーニングを行う
肩の怪我予防で最も重要なのがローテーターカフの強化だ。インターナルローテーションとエクスターナルローテーションの2種目を、軽いダンベルやチューブで週2〜3回行おう。重い重量は必要なく、1〜3kg程度で15〜20回を2〜3セット行えば十分だ。
プッシュとプルのバランスを整える
押す系の種目(ベンチプレス、ショルダープレスなど)と引く系の種目(ロウイング、懸垂など)の量を同じくらいにしよう。理想的にはプッシュ:プル=1:1〜1:1.5の比率が推奨されることが多い。プル系を多めにすることで、肩関節の前後バランスが整いやすくなる。
ベンチプレスのフォームを見直す
肩甲骨を寄せてアーチを作り、肘の角度は体に対して45〜60度程度に保つ。肘を真横に開く角度(90度)は肩への負担が大きいので避けよう。バーを降ろす位置は乳首ラインよりやや下(みぞおち寄り)が基本だ。
ビハインドネック種目を避ける
ビハインドネックプレスやビハインドネックラットプルダウンは、肩関節を外旋させながら負荷をかけるため、インピンジメントのリスクが高い。フロント側で行う種目に置き換えた方が安全だ。
肩甲骨まわりのモビリティを高める
肩甲骨が自由に動くことで、肩関節への余計な負担を減らせる。ウォールスライド、フェイスプル、バンドプルアパートなどのエクササイズをウォーミングアップに取り入れよう。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、運動と健康に関する信頼性の高い情報が公開されている。運動時の安全対策の参考にもなるだろう。
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肩が痛い時にできるトレーニング
肩に痛みがある時でも、部位を選べばトレーニングを続けられる場合がある。ただし、痛みが強い場合はまず医療機関を受診することが前提だ。
下半身の種目
スクワット(バーベルを担ぐのが痛い場合はレッグプレスやゴブレットスクワットに変更)、レッグプレス、レッグカール、レッグエクステンション、ヒップスラストなどは肩への負担が少ない。
体幹の種目
プランク(腕を伸ばすのが痛い場合は肘つきで)、デッドバグ、パロフプレスなどは肩に負担をかけずに体幹を鍛えられる。
痛みの出ない可動域でのリハビリ
完全に痛みがなくなるまで肩を全く動かさないのは、逆に回復を遅らせることがある。痛みの出ない範囲で軽い運動を行うことが回復に有効とされている場合もあるので、医師やリハビリの専門家に相談しながら進めよう。
NEXPORTのコラムでは、インピンジメント症候群を改善するためのストレッチとリハビリが詳しく紹介されている。

よくある質問Q&A
Q1. ベンチプレスをすると肩の前側が痛くなるけど、フォームが悪い?
肩の前側の痛みは、肩甲骨が十分に寄っていない、肘が開きすぎている、バーの降ろす位置が高すぎる、といったフォームの問題が原因であることが多い。一度重量を落として、肩甲骨をしっかり寄せたフォームで練習してみよう。
Q2. サイドレイズをすると肩が痛い。やり方が悪い?
サイドレイズで肩が痛む場合、腕を真横に上げすぎている可能性がある。やや前方(30度くらい)に向けて腕を上げるスキャプションプレーンが肩に優しい角度だとされている。また、親指をやや上に向けて持ち上げると、インピンジメントのリスクが下がるとも言われている。
Q3. 肩のウォーミングアップは何をすればいい?
バンドプルアパート(ゴムバンドを胸の前で左右に引く)、ウォールスライド(壁に腕をつけて上下にスライド)、軽いダンベルでのエクスターナルローテーションの3種目を各15回ずつ行えば、肩関節が温まりやすい。2〜3分程度で終わるので、トレーニング前に取り入れてみよう。
Q4. 肩を痛めた後、どのくらいで復帰できる?
怪我の種類と重症度によって大きく異なる。軽い炎症であれば1〜2週間で改善することもあるが、腱板の損傷や関節唇の損傷では数ヶ月の治療やリハビリが必要になる場合もある。復帰時期は必ず医師の判断に従ってほしい。
Q5. アップライトロウは肩に悪い種目?
アップライトロウは肩関節の内旋+挙上の動きを伴うため、インピンジメントのリスクが比較的高い種目とされている。特にバーベルで狭いグリップで行うと危険度が増す。肩に不安がある場合は、サイドレイズやフェイスプルなど代替種目を検討しよう。
まとめ
筋トレで肩が痛くなる原因は、フォームの問題、ローテーターカフの弱さ、オーバーユース、姿勢の悪さなど多岐にわたる。予防のためには、ローテーターカフのトレーニング、プッシュとプルのバランス調整、正しいフォームの習得が重要だ。肩は一度痛めると長引きやすい関節なので、違和感を感じたら早めに対処しよう。痛みが続く場合は整形外科を受診し、自己判断でのトレーニング継続は避けてほしい。

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