ジムに通い始めて最初にやりたくなる種目といえばベンチプレスです。「ベンチいくつ上がる?」という会話は筋トレ好きの間では定番中の定番。しかし初心者にとっては「最初はどれくらいの重さで始めればいいの?」「自分の重量は平均と比べてどうなの?」と気になることが多いものです。
ベンチプレスは正しいフォームで行えば効率よく胸を鍛えられる優秀な種目ですが、フォームが間違っていると肩や手首を痛めるリスクが高い種目でもあります。重量を追いかける前に、まずはフォームをしっかり固めることが何より大切です。
この記事では、ベンチプレス初心者が知っておくべき重量の目安、体重別・トレーニング歴別の平均、成長曲線の目安、正しいフォーム、そして重量を伸ばすコツまで、網羅的に解説します。

ベンチプレス初心者の重量目安
男性の場合
筋トレ未経験の男性が初めてベンチプレスをやる場合、バーベル(20kg)のみ〜40kgくらいが一般的なスタートラインです。
体重別の初心者の目安は以下のとおりです。
| 体重 | 初心者の目安重量 |
|---|---|
| 55〜60kg | 25〜35kg |
| 60〜70kg | 30〜40kg |
| 70〜80kg | 35〜50kg |
| 80kg以上 | 40〜55kg |
「えっ、そんなに軽いの?」と思うかもしれませんが、最初はフォームを覚えることが最優先です。軽い重量からスタートして全く問題ありません。恥ずかしいことは何もないので、自分のペースで始めましょう。
女性の場合
筋トレ未経験の女性の場合、バーベルのみ(20kg)か、それ以下からスタートすることも珍しくありません。
| 体重 | 初心者の目安重量 |
|---|---|
| 45〜50kg | 15〜20kg |
| 50〜60kg | 20〜25kg |
| 60kg以上 | 20〜30kg |
バーベル(20kg)が重い場合は、10kgや15kgの軽いバーを使うか、ダンベルプレスからスタートするのもおすすめです。

ベンチプレスの平均重量
「自分って平均と比べてどうなの?」が気になる方向けに、トレーニング歴別の平均的な1RM(1回だけ上げられる最大重量)の目安をご紹介します。体重70kgの男性の場合です。
| トレーニング歴 | 1RMの目安 | 体重比 |
|---|---|---|
| 未経験者 | 約40kg | 約0.6倍 |
| 初心者(3〜6ヶ月) | 約55〜65kg | 約0.8〜0.9倍 |
| 中級者(1〜2年) | 約75〜90kg | 約1〜1.3倍 |
| 上級者(3年以上) | 約100kg以上 | 約1.4倍以上 |
ベンチプレスで体重と同じ重量を上げられたら、初心者卒業の一つの目安と言えます。体重70kgの方なら70kgを上げられるようになったら、次のステージに進む準備ができています。
ベンチプレスの成長曲線
ベンチプレスの重量がどのくらいのペースで伸びるか、目安をご紹介します。
最初の3ヶ月(初心者ボーナス期間)
神経系の適応が起こるこの時期は、重量がぐんぐん伸びます。毎週2.5〜5kgずつ伸びることも珍しくありません。40kgで始めた方が3ヶ月で60kgくらいまで伸びるのはよくあるパターンです。
3〜6ヶ月目
伸びのペースは少し落ちますが、まだまだ成長期です。月に2.5〜5kgくらいは伸びる時期です。この時期にフォームをしっかり固めることで、後々の伸びに大きく影響します。
6ヶ月〜1年
さらにペースは緩やかになります。月に1〜2.5kg伸びれば上出来です。停滞期が訪れることもありますが、フォームの見直しや食事の改善で乗り越えられます。
1年〜2年
月に0.5〜1kgくらいの伸びが一般的です。ここまで来ると「100kgの壁」に挑む方も出てきます。100kgはトレーニーにとっての一つの大きな目標であり、達成したときの喜びは格別です。

ベンチプレスの正しいフォーム
重量を伸ばすためにも、怪我を防ぐためにも、正しいフォームの習得は最重要項目です。基本をしっかり押さえましょう。
セットアップ
- ベンチに仰向けに寝る:目の位置がバーの真下にくるように調整する
- 足をしっかり床につける:かかとが浮かないように踏ん張る
- 肩甲骨を寄せて下げる:「胸を張る」イメージ。これが最も重要なポイント
- 適度なアーチを作る:腰の下にこぶし1個分くらいの隙間を作る
- グリップ幅:肩幅の1.5倍くらいが目安。手首が真っ直ぐになる幅で握る
挙上動作
- ラックからバーを外す:肘を伸ばした状態でバーを持ち上げ、鎖骨の上あたりにセット
- バーを下ろす:胸の乳首ラインあたりに向かって、コントロールしながらゆっくり下ろす。肘の角度は約45〜75度
- 胸にタッチ:バーが胸に軽く触れたら(バウンドさせない)
- バーを押し上げる:胸 → 肩 → 腕の順で力を入れて、スタート位置まで押し上げる
- 呼吸:下ろすときに息を吸い、上げるときに吐く
- お尻が浮く:お尻はベンチにつけたまま。浮くと腰を痛める原因になる
- 肘が開きすぎる:肘が90度(Tの字)に開くと肩を痛めやすい。45〜75度が安全な角度
- 手首が反る:手首は真っ直ぐに保つ。反ると手首の怪我につながる
- バーを胸でバウンドさせる:反動を使うと胸に効かないだけでなく、肋骨を痛めるリスクもある
- 足が不安定:足をベンチに乗せたり、ブラブラさせるのはNG。しっかり床を踏む

重量を伸ばす6つのコツ
1. 漸進性過負荷を意識する
毎回少しでもいいから前回を上回ることを意識しましょう。前回60kg×8回だったなら、今回は60kg×9回、もしくは62.5kg×8回を目指す。この小さな積み重ねが成長の原動力になります。
2. 週2回は胸をトレーニングする
週1回よりも週2回ベンチプレスを行ったほうが重量は伸びやすい傾向にあります。ボリュームを分散させて、1回あたりの質を高めましょう。
3. 補助種目を取り入れる
ベンチプレスだけやっていると、いつか停滞します。弱点を補強する補助種目が重要です。
- 胸が弱い場合:ダンベルフライ、ペックフライ
- ロックアウト(上げきれない)が弱い場合:ナローグリップベンチプレス、ディップス
- ボトム(胸からの立ち上がり)が弱い場合:ポーズベンチプレス、ダンベルプレス
4. 食事をしっかり摂る
重量を伸ばしたいなら、カロリー不足の状態では難しくなります。メンテナンスカロリー以上を摂ることが大切です。タンパク質は体重×2gを目安にしましょう。
5. 十分な休息を取る
筋力向上にはしっかりした回復が不可欠です。特に睡眠は重要で、7〜8時間の確保を心がけてください。
6. フォームを定期的に見直す
スマホで自分のフォームを撮影して確認するのがおすすめです。自分では正しいつもりでも、動画で見ると意外とフォームが崩れていることがあります。

ベンチプレスの安全対策
ベンチプレスはジムの中でも事故が多い種目の一つです。安全対策は絶対に怠らないでください。
- セーフティバーを必ず設置する:パワーラックでベンチプレスをする場合、必ず胸の高さよりやや低い位置にセットする
- 重い重量に挑戦するときは補助を頼む:近くにいるトレーニーに「補助お願いできますか?」と声をかければ、ほとんどの方は快く引き受けてくれる
- サムレスグリップ(親指を外す握り方)はNG:バーが滑り落ちるリスクがあるため、必ず親指をバーに巻く「サムアラウンドグリップ」で握る
よくある質問(Q&Aコーナー)
一般男性の中では間違いなくすごいです。成人男性でベンチプレス100kgを上げられる人は、全体の1〜2%程度と言われています。ジムに通っている人の中でも達成者は限られるため、大きな目標として目指す価値があります。
どちらも優秀な胸の種目です。ベンチプレスは高重量を扱いやすく筋力向上に向いています。ダンベルプレスは可動域が広く、左右差の修正や筋肥大に効果的です。理想的には両方取り入れるのがベストです。
やるべきです。フラットベンチプレスは主に胸の中部〜下部に効きますが、胸の上部を鍛えるにはインクラインベンチプレスが効果的です。バランスの良い胸を作るなら、両方取り入れましょう。
肘の開きが大きすぎる可能性があります。肘の角度を45〜75度に修正し、肩甲骨をしっかり寄せてから動作を行いましょう。それでも痛む場合は、整形外科を受診することをおすすめします。
あります。特に初心者はバーだけでフォームを丁寧に覚えることが最も大切です。正しいフォームが身につけば、そこからの重量の伸びが全然違ってきます。
基本的に何歳からでも始められます。ただし、高校生以下の方は骨や関節がまだ発達途中のため、軽い重量で正しいフォームを覚えることに集中しましょう。中高年の方も、無理のない重量から始めれば安全にトレーニングできます。

まとめ:フォーム重視でコツコツ伸ばしていこう
- 初心者のスタート重量は男性30〜40kg、女性15〜20kgが目安
- 体重と同じ重量を上げられたら初心者卒業の一つの基準
- 重量を伸ばすカギは正しいフォーム・漸進性過負荷・食事・睡眠
- 安全対策としてセーフティバーの設置は必須
- 停滞期はフォーム見直し・食事改善・補助種目で乗り越える
ベンチプレスは奥が深い種目で、やればやるほど面白くなります。焦らず、フォームを大事にしながら、少しずつ重量を伸ばしていきましょう。「100kg」という目標も、コツコツ続ければ必ず手が届きます。
トレーニングの基本情報はNSCA ジャパンでも詳しく解説されています。パワーリフティングの公式情報については日本パワーリフティング協会のサイトも参考にしてください。
※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

